公開日:2024年11月26日最終更新日:2024年12月3日
TOEICのPart 5で文法問題がある程度正解できるようになってきた中級者の多くにとって、次の壁となるのが前置詞問題と語彙問題だと言えます。
前置詞問題はPart 6にも出題されますし、あらゆる前置詞を文脈に合わせて正しい意味でとれる力はTOEICリーディング・リスニング全体を通して重要なスキルです。
「前置詞は数が多く全体を把握しきれてない」「それぞれの前置詞に用法が多くて難しい」という方に向けてこの記事で前置詞の全体像をまとめていますのでぜひ学習に活用してください。
前置詞・接続詞の識別に関しては以下の記事を参考にしてください。
TOEIC Part 5で高得点獲得のために必ずおさえるべき「接続詞」まとめ (接続詞・前置詞一覧表付き)
それではまず、前置詞とはどういうものかの確認からスタートしましょう。
目次
前置詞は名詞や名詞相当語句の前に置かれて「前置詞句」を作ります。
“in Tokyo“
上の例のTokyoのように前置詞の後ろに置く語句を前置詞の目的語と呼びます。
前置詞の目的語となる名詞のはたらきをするものをこちらの一覧で確認しておきましょう。
Part 5の前置詞・接続詞問題では空欄後の状況判断(名詞か節か)が重要ですが、前置詞の後ろには単に名詞だけでなく上記の様々なパターンの名詞のはたらきをする語句が入り得るということをおさえておきましょう。
前置詞句は名詞を修飾する「形容詞句」もしくは動詞等(動詞・形容詞・副詞・文全体)を修飾する「副詞句」のはたらきをします。
“The phone on the desk is mine.”
下線を引いた前置詞句は直前の名詞(太字)を修飾しているので形容詞のはたらきです。
“The meeting ended on time.”
下線を引いた前置詞句は直前の動詞(太字)を修飾しているので副詞のはたらきです。
“We are happy with the result.”
こちらの文では前置詞句は直前の形容詞(太字)を修飾する副詞のはたらきをしています。
ではここからそれぞれの前置詞について見ていきましょう。
使用範囲が広い前置詞はコアイメージをとらえて、前置詞の根本的なニュアンスを理解したうえで各用例でそれがどのように派生して具体的な意味になっているかをおさえていくようにしましょう。
用例には音声もつけていますので、意味をイメージしながら正しい音で発音できるようにシャドーイング等に活用してください。リスニング時に音と前置詞のイメージが自動的にくみ取れるようになるまで反復練習することをおすすめします。
Part 5・6対策としては、前置詞を使った「語法(ここでは熟語・イディオム・コロケーションなどを総合して語法と呼ぶこととします)」もおさえておきましょう。問題解答時、知っている語法であれば考える間もなく一瞬で解答できるので、Part 5・6の時間を短縮したい方には特に重要です。
aboutという前置詞のコアイメージは以下のように説明されています。
“talk about the job”「その仕事について話す」
その仕事を中心にその仕事の周辺事項も含めて話をするといったイメージですね。
“inquire about a service”「サービスについて尋ねる」
“I’m sorry about that.”「それについてはすみません」
“aboard a train”「電車に乗って」
“people aboard the ship”「その船に乗っている人たち」
前置詞aboveのコアイメージは以下のように説明されています。
“above average”「平均以上の」
“All expenses above $1,000 must be preapproved.”「1,000ドル以上の経費は全て事前承認が必要です」
“according to the e-mail”「Eメールによると」
“according to her instructions”「彼女の指示に従って」
前置詞acrossのコアイメージは以下のように説明されています。
“across all departments”「全部署に渡って」
前置詞afterのコアイメージは以下のように説明されています。
“after the presentation”「プレゼンの後に」
afterは接続詞用法(副詞節を導く従位接続詞)もあります。Part 5の前置詞・接続詞問題では文法的にどちらの品詞が入る場合でも正解の可能性があるので注意しましょう。
前置詞againstのコアイメージは以下のように説明されています。
“A sign is leaning against a wall.”「看板が壁に(対して)立てかけられている」
“strong against heat”「熱に対して強い」
“ahead of time”「定刻より前に」
“ahead of schedule”「予定より早く」
前置詞alongのコアイメージは以下のように説明されています。
“along the wall”「壁に沿って」
“along this trail”「この小道に沿って」
“along with a resume”「履歴書と一緒に」
“alongside her painting”「彼女の絵画と並べて」
“alongside the street”「通りに沿って」
“amid a changing business environment”「変化する経営環境の中で」
前置詞amongのコアイメージは以下のように説明されています。
“among university students”「大学生の間で」
amongstはよりフォーマル・文語的で使用頻度はamongと比べてかなり低いです。ただイギリス英語ではやや使用頻度が上がるようです。
“amongst the members”「メンバーたちの間で」
“apart from that”「それはさておき」
前置詞aroundのコアイメージは以下のように説明されています。
“around 2 pm”「2時頃に」
“around the corner”「角を曲がったところの」
“around the world”「世界の至る所に」
前置詞asのコアイメージは以下のように説明されています。
“as your manager”「あなたのマネージャーとして」
“as a novice driver”「運転初心者として」
asは接続詞用法(副詞節を導く従位接続詞)もあります。
“as for me”「私に関しては」
“as of April 1st”「4月1日付で」
“as of today”「今日現在で」
“as to the first question”「最初の質問に関しては」
“aside from a few exceptions”「いくつかの例外を除いて」
前置詞atのコアイメージは以下のように説明されています。
“at the office”「オフィスで」
“at a press conference”「記者会見で」
“at 5:00 pm”「5時に」
“be skilled at negotiations”「交渉に長けている」
リスニングの面では基本的に弱化した弱いバージョンの/ət/で発音されることがほとんどなので注意しましょう。
弱化(リダクション)についてはこちらの記事にまとめていますので参考にしてください。
TOEICリスニングが苦手な方必見 | 音の弱化 ― Reduction(リダクション)とは?
“because of damage”「損傷が理由で」
“be late because of traffic”「交通渋滞が原因で遅れる」
前置詞beforeのコアイメージは以下のように説明されています。
“before placing an order”「発注する前に」
beforeは接続詞用法(副詞節を導く従位接続詞)もあります。
前置詞behindのコアイメージは以下のように説明されています。
“behind the warehouse”「倉庫の後ろに」
以下の例のようにbehindは前置詞を並べて2つ使うこともあります。
“from behind the counter”「カウンターの後ろから」
前置詞belowのコアイメージは以下のように説明されています。
“below average”「平均以下の」
“below 20%”「20%未満で」
“beneath the surface”「表面下に」
前置詞besideのコアイメージは以下のように説明されています。
“beside a river”「川のそばに」
前置詞besidesのコアイメージは以下のように説明されています。
“besides that”「それの他に」
前置詞betweenのコアイメージは以下のように説明されています。
“between 1:00 pm and 5:00 pm”「午後1時から5時の間に」
“choose between two job offers”「2つの仕事のオファーの中から選ぶ」
前置詞beyondのコアイメージは以下のように説明されています。
“beyond expectation”「予想(期待)以上に」
“beyond the ticket gate”「改札の向こうに」
前置詞byのコアイメージは以下のように説明されています。
“by phone.”「電話で」
“by the end of this month”「今月末までに」
“by means of a bank transfer”「銀行振込によって」
“by way of London”「London経由で」
“concerning tomorrow’s workshop”「明日のワークショップに関して」
“contrary to all expectations”「あらゆる予想に反して」
“despite a snowstorm”「吹雪にかかわらず」
“in spite of bad weather”「悪天候にもかかわらず」
話者の位置から離れて「先へ進んだところ」の意味を表します。道順の説明などでよく使われる前置詞です。
“down the street”「通りを進んだところに」
“due to a conflict”「争いが理由で」
“due to high demand”「高い需要のため」
“during my stay”「私の滞在中に」
どちらも前置詞として同じ意味で使えますが、文修飾として文頭に置けるのはexcept forの前置詞句のみです。exceptは後ろに前置詞句(副詞句)や副詞節など副詞的な要素を置くこともできます。
“except you”「あなた以外に」
“except for a few minor mistakes”「いくつかの小さな間違いを除けば」
“following a short break”「小休憩の後に」
前置詞forのコアイメージは以下のように説明されています。
“leave for Boston”「Bostonに向かって出発する」
“for a few months”「数ヶ月の間」
“for 100 dollars”「100ドルで」
“available for an additional fee”「追加料金で利用可能」
“for reducing the cost”「コスト削減のために」
“for beginners”「初心者向けの」
“for the purpose of analytics”「分析の目的で」
“for the sake of safety”「安全のために」
前置詞fromのコアイメージは以下のように説明されています。
“from 9 AM”「午前9時から」
“given all these problems”「これらの問題点を考えると」
given thatは同じ意味で副詞節を導く従位接続詞ですが、thatは省略可なので結局givenで前置詞としても接続詞としても使えます。
前置詞inのコアイメージは以下のように説明されています。
“in May”「5月に」
5月の範囲内のイメージですね。時刻はat、曜日・日付はonを使います。
“in an hour”「1時間で」
“in the room”「部屋の中に」
“not indicated in the document”「その書類には示されていない」
“a decline in viewership”「視聴率の低下」
“in accordance with a strict standard”「厳格な基準に従って」
“in addition to his significant contribution”「彼の大きな貢献に加えて」
“in case of an accident”「事故の際には」
“in the middle of a presentation”「プレゼンの最中で」
“including postage”「送料込みで」
“in contrast to the original version”「オリジナル版とは対照的に」
“in front of a store”「店の前に」
“in honor of her achievements”「彼女の功績を称えて」
“in light of recent events”「最近の出来事を踏まえて」
“in place of her boss”「彼女の上司の代わりに」
“in terms of quality”「質の観点では」
“in token of his gratitude”「彼の感謝の印として」
前置詞insideのコアイメージは以下のように説明されています。
inと比較するとより境界を意識した前置詞ですね。
“inside the building”「その建物の内部に」
“instead of taking the bus”「バスに乗る代わりに」
前置詞intoのコアイメージは以下のように説明されています。
“into a room”「部屋の中へ」
“get into a building”「建物の中へ入る」
“like that”「そのように」
likeは主に口語で接続詞(副詞節を導く従位接続詞)の用法があります。
“near the station”「駅の近くに」
“next to the building”「その建物の隣に」
“notwithstanding Article 12″「第12条の規定にかかわらず」
前置詞ofのコアイメージは以下のように説明されています。
“youth of today”「今日の若者たち」
“the cause of a power outage”「停電の原因」
前置詞offのコアイメージは以下のように説明されています。
「…から離れて」―(Eゲイト英和辞典, 2003, p.1135)
“A man is taking a book off a shelf.”「男性が棚から本を取っている」
前置詞onのコアイメージは以下のように説明されています。
onとuponの意味はほぼ同じですがuponの方がフォーマルな表現になり、upを含むのでやや「上に」という意味が強調されたニュアンスが含まれます。
“on the 3rd floor”「3階に」
“on the wall”「壁に」
“on Friday”「金曜に」
“upon arrival”「到着次第すぐに」
“on account of rain”「雨のために」
“on behalf of all the staff”「全スタッフを代表して」
“on top of a hill”「丘の上に」
“on top of that”「そのうえ」
前置詞ontoのコアイメージは以下のように説明されています。
“onto the floor”「床に」
“sit opposite me”「私の真向かいに座る」
“out of 30 applicants”「30人の応募者の中から」
“outside the building”「建物の外で」
前置詞overのコアイメージは以下のように説明されています。
“over a 3-year period”「3年間の期間にわたって」
“over the phone”「電話で」
“owing to unexpected domestic demand”「予想外の国内需要のために」
“past the post office”「郵便局を通り過ぎて」
“per hour”「1時間あたり」
“plus tax”「税金を加えて」
“prior to the meeting”「会議の前に」
“regarding your order status”「あなたの注文状況に関して」
“regardless of distance”「距離に関係なく」
前置詞sinceのコアイメージは以下のように説明されています。
“since 2020″「2020年以来ずっと」
sinceは接続詞(副詞節を導く従位接続詞)の用法もあります。
“thanks to his advice”「彼のアドバイスのおかげで」
前置詞throughのコアイメージは以下のように説明されています。
“through conversation”「会話を通じて」
“through a tunnel”「トンネルを通って」
“through Friday”「金曜まで」
“throughout the book”「その本全体にわたって」
“throughout Japan”「日本全体で」
前置詞till (until)のコアイメージは以下のように説明されています。
意味は同じですが、tillの方がカジュアルな表現です。
どちらも接続詞(副詞節を導く従位接続詞)としても使われます。
“till tomorrow”「明日まで」
“until 5 o’clock”「5時まで」
前置詞toのコアイメージは以下のように説明されています。
“to the bookstore”「本屋へ」
“to the next page”「次のページへ」
“add an item to the list”「リストへ項目を加える」
“toward a specific goal”「具体的な目標に向かって」
前置詞underのコアイメージは以下のように説明されています。
“under the table”「テーブルの下に」
“under any circumstance”「どんな状況下でも」
“underneath the seat”「座席の下に」
“unlike other companies”「他社と違って」
“via Paris”「Paris経由で」
発音は/vaɪə/・/vɪə/のどちらも使われます。
前置詞withのコアイメージは以下のように説明されています。
“with a little funding help”「わずかな資金援助で」
“speak with my supervisor”「私の上司と話す」
“be covered with snow”「雪で覆われている」
“with regard to parking”「駐車場に関しては」
“within 2 hours”「2時間以内に」
“within walking distance”「徒歩圏内に」
“without prior notice”「事前通知なしに」
“worth trying”「試す価値がある」
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