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TOEIC学習方法について

数多くのTOEIC学習方法や教材から自分に合ったものを選ぶのは一苦労ですが、その段階で選択ミスをするとその後の学習に費やす時間や労力が無駄になりかねません。効果が出ずに学習に対するモチベーションが下がってしまうことにもつながってしまいます。今使っている教材や学習方法はあなたに適切な内容でしょうか?
特に英語基礎力(語彙力・文法力・音声認識能力)が不足している初~中級者(~800点前後くらい)の方が避けたほうがいい学習方法の代表例5つをピックアップしましたので、今のご自身の状況と照らし合わせてみてください。

文法学習をPart 5の問題集でカバー

Part 5は文法(・語彙)問題と呼ばれていますが、初級~中級者がPart 5の文法問題集だけで文法学習を済ませてしまおうというやり方はあまりオススメできません。
問題集というのは自分の弱点・課題を確認するため、もしくは出題の傾向を掴みスムーズな解答を行う練習や本番のテストの演習などに最適なものです。問題が種別にまとめられている問題集を使用したとしても、文法に関する知識に断片的に触れるだけで、体系的に文法を理解・習得することにはなかなかつながりません。そして断片的な知識は忘れるのも早いです。解説を見て納得したつもりが、また似たような問題でつまづくことはありませんか?
遠回りに感じてしまうかもしれませんが、先ずは中学高校レベルの基礎文法を一通り復習することが着実な英語力の向上につながります。その後にそうした文法問題に取り組んで文法上の弱点の確認・補強や問題への応用力を磨いていきましょう。

スピード偏重の練習

皆さんご存知の通り、TOEICリーディングパートでは限られた時間内に大量の問題を解答しないといけません。なので日頃の学習から時間を意識することはもちろん大事ですが、「先ずはスピードよりも正確性」です。正しく理解・処理できるようになってからそれをスピードアップしていきましょう。
実際のテストで時間が足りずに最後の方を塗りつぶす状況をなんとかしたい気持ちはよく分かりますが、初~中級者時点の英語力では基礎的な語彙・文法力がまだ不足しているため、まともに解くとテストで最後の問題まで間に合わないのはむしろ当然です。逆に間に合って「~分時間が余りました!」というのを聞くとスピードを重視し過ぎて飛ばし読みをして解いてしまっているなと正直思います。
英語基礎力の強化に加え、全ての文章・問題を時間をかけてでもしっかり100%理解していく「精読」のフェーズを必ず設けてください。これはリーディングパートだけでなくリスニングパートでもスクリプトを用いて行ってください。単に問題を解いて答え合わせを行うだけの学習方法に比べると労力はかかりますが着実に実力がついていきます。
精読を行った内容を音読やシャドーイングなどでスピードアップしていくことがとても効果的な方法です。

現状の英語力レベルに合っていない学習

今の自分のレベルに対して難しすぎる内容を使って学習することは効率が良いものではありません。例えばTOEICの公式問題集は最良の教材の一つですが、ざっくりと言って500点未満の学習者にとっては内容的に難しい部分が多すぎてメインの教材として使うことは学習効果が高いとは言えないでしょう。やはり先ずは英語基礎力を強化することから行ってください。
このことに関しては、語学教育に大きな影響を与えた言語学者のStephen Krashenが提唱した有名なインプット仮説で、「学習者は現在のレベル(i)よりわずかに高いレベルの言語的なインプット(i+1)を理解することで言語習得が進む」というように説明されています。
ただしその(+1)とはどの程度か、なかなか捉えづらい部分も実際ありますので、私が一つの簡単な指標としてよくお勧めしているのは語彙のカバー率です。読解に関するいくつかの研究では、適切に読解を行うためには対象の文章内の98%の単語を知っている必要があると言われています。なので語彙の観点から見ると文章内に知らない単語が1割も2割も(もしくはそれ以上)ある場合は自分にとってほど良いレベルの読解マテリアルとは言えないでしょう。
因みに、一時期Lexile指数という読解力と文章の難易度を示す指標が話題になっていましたが、TOEIC公式サイトでは現在全く触れられなくなりましたし、どこまで信憑性があるのか個人的によく分からないのでここではあえて取りあげません。
また、リスニング対策のシャドーイング練習においても、スクリプトを見てもクリアに理解(語彙・文法的に)できない音源をトレーニングに使用することはあまりオススメしません。シャドーイングの初期段階では音への意識が中心でOKですが、次の段階で意味処理へフォーカスしていかないといけないのでその時点での学習効果が期待できないからです。音源のスピードに関しても自分にとって速すぎると感じた場合は速度調整ができるソフトなどを使用して丁度良いレベルから少しずつ速めていってください。
教材や学習方法を決めて取り組む前に一度こういった点を意識してみるといいでしょう。

ネイティブ講師でTOEIC学習

最近ではネイティブ講師がTOEICレッスンを担当することは少ないと思いますが、これもあまりオススメできません。日本語の使用がほぼ完璧かつ日本語・英語双方の言語システムを正確に理解しておりTOEICテストにも精通しているといった夢のようなネイティブ講師であれば話は別ですが、なかなかお目にかかれるものではないのが実情です。
仮に一般的なネイティブ講師からTOEIC指導を受けるとなると、講師は受講生の理解度や思考が分かりづらく、受講生は講師の説明が分かりづらいという非常に不利な条件下で学習することになります。習得途上の英語での説明は当然日本語でのものより理解度が下がるうえに、外国語副作用という現象で情報処理を行う力の多くが言語処理に割かれてしまい思考力そのものが一次的に低下するという指摘もあります。
単に英語の音に触れる機会の絶対量を増やしたいのであればこのようなデメリットをわざわざ取らずに他にいくらでも活用できるリスニング教材はありますよね。TOEIC学習で講師をつけるのであればやはり専門の日本人講師が良いでしょう。

英語音声に関する学習の軽視

最近少しずつ連結による音の変化などに注目が集まってきていますが、ほとんどの方が英語基礎力の強化として語彙や文法には取り組まれても英語の音声についてはあまり注力されてないのではないでしょうか。音に関する学習の大切さは別の記事(『英語学習で一番最初に身につけるべきなのは「音」』)でも取り上げていますが、特に初~中級者の方は必ず取り組むべきです。当然のことですが日本語と英語は使用する音声が違うので日本語のカタカナ表記で英語の音を正しく表すことはできません。聴き取りを上達させたいという思いがあるのであれば必ず発音記号を用いて学習を行ってください。
リスニング時に正しく英語の音声を認識できないと、そこから語句を認識して意味を捉えていくこと(ボトムアップ処理と呼ばれています)がもちろん難しいですし、認識した音声やその他の情報をもとに自分の中にある知識や経験をフル活用して積極的に意味の推測を行い理解を促進すること(トップダウン処理)もうまく行えません。
テストを作る立場に立って考えると、音声認識が未熟な受験者が聞き間違えて誤った推測を行い誤答を選ぶ、といった流れに誘導するように作成することも多いのではと思います。平たく言うと、よくある「あの部分がこう聞こえてこう思っちゃったからこれを選んじゃったんですよね」というやつです。音の認識が甘いと本来理解を促進するための推測の精度も悪く、逆にひっかけに利用されてしまうということですね。
因みにいわゆる先読み(リスニングPart 3・4)はこのトップダウン処理をactivateするために行うものと言えば分かりやすいんじゃないでしょうか。リーディングパートで行う「文書の種類」や「タイトル」のスキミングも同様です(スキミングを含むTOEICで活用できるリーディングストラテジーまとめの記事もぜひご覧になってください)。

まとめ

その他気を付けるべき点はたくさんありますが、先ずはこの5項目からご自身の学習方法を見直して改善するためのきっかけになればと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。


福岡のTOEICコーチングスクール【Rep】

筆者が指導を行っている福岡の3ヵ月短期集中型TOEICコーチングスクールRepでは、こうした様々な視点から学習者の英語力向上に取り組んでいます。大きく現状の学習を改善していきたいとお考えの方はぜひホームページもチェックしてみてください。専門の講師 (TOEIC990点満点・英語教授法修士号取得) と一緒に徹底的に英語力を鍛えるプログラムを準備して真剣に伸ばしたいと考えている方をお待ちしております。
また、実際に3か月のプログラムを受講された方の「受講者の声」もあわせてご覧ください。

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