公開日:2022年7月1日最終更新日:2024年12月6日
このブログ記事ではTOEICを含めてあらゆる英語学習での英語リスニング力UPに欠かせない、英語の音声変化のルールについて書いていきます。
英会話の中で、単語と単語が連なった際に発音のスムーズ化のためにネイティブスピーカーが自然と行っている発音には以下に挙げるようなルールがあります。
これらの知識を正しく身につけ、練習して身につけることで音読・シャドーイングのスムーズ化やリスニング力UPを図っていきましょう。
因みにこちらの内容はアメリカ・カナダの北米の英語発音をベースにしています。その他の国の英語発音でこうした音声変化のルールが適用されるのか否かは以下のブログを参考にしてください。
TOEICリスニング各国スピーカーの英語発音の特徴まとめ (アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランド)
目次
大きく分けて3つあるリンキングのパターンの中でも先ずは「子音+母音」のリンキングのパターンから見ていきましょう。
an_idea /ən aɪˈdiːə/
上の例のように、子音で終わる単語に母音で始まる単語が続く場合、その子音と母音を繋げて発音します。
カタカナ発音にはなりますが、分かり易く日本語で表記すると、「アン・アイディア」のように切って発音するのではなく、「アナイディア」のように繋げるということです。
以下の例でこのタイプのリンキングを練習しましょう。
一点注意してほしいのが、上の例の”one of”の”one”ような単語はスペリング上は”e”という母音を表すアルファベットで終わっていても実際の発音上は”e”を母音として発音せず、/ˈwʌn/という子音で終わる語として発音します。なので次に母音が来るとこのタイプのリンキングが起きます。
要は見た目のスペリングに惑わされずに実際の発音で子音・母音などを判断することが大事ということです。
それでは例文音声を使ってこのタイプのリンキングを確認・シャドーイング練習を行いましょう。
“I can make a list of potential customers.”「見込み顧客のリストを作りますよ。」
この例文では、make aとlist ofのところがリンクしていますね。
以降、音声変化を表した画像はそのセクションでターゲットとしている音声変化の部分のみを記述しています(それ以外の要素が入っている場合も多いですがターゲットの音声変化にフォーカスするためです)。
get_it /ˈget ɪt/ [ˈgeɾ ɪt]
一つ上のセクションで書いたように、子音と母音は連結します。なので子音の一つである/t/のあとに母音で始まる語が来るとそこはリンキングですね。更に最初の単語の/t/の直前の音が母音だった場合、その/t/の音が以下のように変化します。
2つの単語が並んで、母音 + /t/ + 母音となる場合、北米の発音では/t/の音を上あごの歯茎やや後の部分をやや強めに短く一瞬で叩く(flap)ように有声音として発音します。
日本語の「ラ行」に非常に良く似た音になりますが、上に書いたようにやや強めのアタックを意識するとより英語のこのflapした/t/の音に近づきます。
通常の/t/のように空気の流れを完全に閉鎖せず、有声音の連続として発音するので非常にスムーズな発音となります。
“water”のように、一つの単語内で/t/が母音に挟まれている状況でも同様です。
以下の例文音声を使ってこのタイプのリンキングをシャドーイング練習しましょう。
“Not that I know of.”「私の知る限りはそうではないです。」
この例文ではthat ͜ Iをリンクさせて/t/をflapする感じですね。
また、/t/と同様に/d/も母音に囲まれた際にflapして発音することが多いです。
一点注意事項として、単語内で/t/の後に強母音が来る場合は母音に囲まれても基本的に/t/はflapして発音しないということに気を付けてください。
guitar /gɪˈtɑːr/などがその一例ですね。
それでは以下の動画を見ながらflap /t/の練習をしてみましょう。
続いて子音+子音のリンキングについてです。
what_time /ˈwʌt ˈtaɪm/
2つの単語が並んで、先行の単語の終わりの子音と続く単語の始まりの子音が同じ音の場合、2つの子音として発音せずにつなげて1つの「長め」の子音として発音します。
以下の例文音声をこのリンキングを使ってシャドーイングする練習を行いましょう。
“What time works best for you?”「何時があなたにとって最も都合が良いですか?」
こちらの例文ではWhat timeの部分をリンクさせます。
“Martin took care of it.”「Martinがそれを対処してくれました。」
こちらの例文ではtook careの部分が同一子音のリンキングです。
let_me /ˈlet mi/
子音の中には呼気の流れを一瞬完全に止めてそれをリリースして発音するタイプのいわゆるStop子音(閉鎖音)というものがあります(/t, d, p, b, k, g/)。
2つの単語が並んで、先行の単語がStop子音 で終わり、続く単語が子音で始まる場合、Stop子音の発音時に空気の流れを止めた後リリースを行わずに直接次の子音につなげて発音します。
特に/t/の場合に顕著です。
こちらも例文音声で練習しましょう。
“I already did that.”「もう自分でやってしまいました。」
“did”の最後の/d/をストップのみでリリースを省いてすぐに”that”へリンクさせましょう。
“I’d appreciate that.”「そうしていただけるとありがたいです。」
appreciateの最後の子音/t/をストップのみで素早く次のthatへリンクさせて発音ましょう。
他と比べて教材などに取りあげられる機会は少ないですが、母音の次に母音が来た場合そのまま発音すると実は発音しづらく発音的にスムーズではありません。
ここでは母音と母音の間に半母音と言われる母音と子音の中間的なものを軽く付け加えることでそこをスムーズ化させるリンキングについて確認していきましょう。
go_into /ˈgoʊ (w) ɪntə/
2つの単語が並んで、先行の単語が/ uː, ʊ, aʊ, oʊ/で終わり、次の単語が母音で始まる場合、間に軽く半母音の/w/を挿入しスムーズに繋げて発音します。
先ほど取り上げた以下の例文、know ofの間に軽く/w/の音を加えることで(スペリング上”know”の最後はwで終わっていますが、発音上は/ˈnoʊ/なので元は/w/の音はありません)スムーズに繋げられるのでそこにフォーカスして練習しましょう。
say_it /ˈseɪ (j) ɪt/
2つの単語が並んで、先行の単語が/iː, ɪ, eɪ, aɪ, ɔɪ/で終わり、次の単語が母音で始まる場合、間に軽く半母音の/j/を挿入しスムーズに繋げて発音します。
以下の例文のsee ifの間に半母音/j/をかるく加えてリンクさせることで発音がスムーズになります。
“I’ll check to see if there are any rooms available.”「私が空き部屋があるかどうか確認します。」
2語が並び、最初の単語の語尾の音と次の単語の語頭の音が隣り合った際に、一方の音ががもう一方の音に影響を受けてその音の発音上の特徴を帯びるようになって音が変化することを「同化」と言います。
did_you /dɪd ju/ → /dɪdʒu/
2語が並んで、先行の単語が/s, z, t, d/のいずれかの子音で終わり、次の単語が/j/で始まる場合、同化して双方の特徴を備えた別の一つの音になります。
/s/ + /j/ → /ʃ/
/z/ + /j/ → /ʒ/
/t/ + /j/ → /tʃ/
/d/ + /j/ → /dʒ/
同化の発音を意識して以下の例文音声をシャドーイングしましょう。
“Could you have a look at the attached presentation material?”「添付したプレゼン資料をちょっと見てもらってもいいですか?」
“Would you like me to bring these files to your office?”「これらのファイルをあなたのオフィスに持っていきましょうか?」
ここまで「リンキング(連結)」と「同化」について触れてきましたが、もう一つの音声変化に音の「脱落」というものがあります。
以下に挙げる状況では音の「脱落」が起こり、その名の通り特定の音が「全く発音されなくなる」もしくは「非常に弱く発音される」ようになります。
west_side /ˈwest ˈsaɪd/
英単語の中には間に母音を挟まない子音のかたまりを持つものがあり、その子音だけのかたまりを子音連結(consonant cluster)と呼びます。
日本語は基本的に「母音」と「子音+母音」からなっているので、「子音+子音」である子音連結は日本語と英語の大きな違いの一つです。
上に挙げた例の最初の単語”west”は/st/という子音連結部分を持った語で、その次に子音スタートの語”side”がきている状況です。
このように/t/ (もしくは/d/)で終わる子音連結の語の次に子音で始まる語がきた場合は最初の語の/t/・/d/は脱落し、全く発音されないか、もしくは非常に弱く発音されます。
結果、”west side”は/t/が脱落し、更に「子音+同一の子音のリンキング」で/s/が一つの長めの子音として発音されます。
更に語尾の/t/・/d/はstopのみでリリースを行わないことが多いので、はっきりとした/d/の音ではなくなり、「ウェストサイド」→「ウェッサイ」となります。
こうした脱落は以下の例のように一つの単語内で3つの子音の真ん中が/t/・/d/だった場合にも起こります。
exactly /ɪgˈzæktli/
例文で確認してみましょう。
“First off, let’s look at our sales figures last month. “「最初に昨月の売上高を見てみましょう。」
こちらの例文のlast monthの部分を/t/を脱落させてスムーズに繋げて発音する練習を行いましょう。
次の例文ではcontact meの/t/とdirectlyの/t/が脱落します。
“Please contact me directly if you have any questions.”「何か質問があれば私に直接連絡ください。」
internet /ˈɪntərˌnet/
上の例のように、「母音+/nt/母音」という状況では/nt/の/t/を脱落させて発音することが多いです。
以下の語の/t/を脱落させて発音する練習をしてみましょう。
例文で確認してみましょう(interfaceのtの脱落です)。
“This product features an intuitive interface.”「この製品は直感的なインターフェイスを備えています。」
ここまで主に複数の単語が連なった際に起きる音声変化についてまとめてきましたが、英語の発音ではそれ以外に特定の単語単体で音が変化するものがあります。
弱化(リダクション)と呼ばれるもので、簡単に言うと単語が「弱いバージョン」で発音されているものです。
リダクションについてはこちらの記事でまとめていますのでぜひ合わせてご覧になってください。
TOEICリスニングが苦手な方必見 | 音の弱化―Reduction(リダクション)とは?
最後にここまでの内容を簡単にひとまとめにした表を載せておきますのでざっとレビューしてみてください。
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