2022年6月20日 6:00 PM
今回はTOEICリーディングのPart 6が苦手、かなり時間がかかってしまうという方に向けて対応策をまとめます。
Part 6の正答率・スピードを改善したいと考えられている方はぜひ参考にしてください。
目次
リーディングで効果的な内容理解を進めるにはやみくもに本文を読み進めるのではなく「概要→詳細」への流れで内容を掴んでいく意識が重要です。
TOEIC Part 6で概要情報として最初に確認すべきなのは以下のポイントです。
Part 6と7では各問題の冒頭部分に以下のように文書の種類(以下の例は「記事」)が記載されています。
Questions xxx-xxx refer to the following article.
文書の種類が分かったうえで内容を読むことは、何の文書か分かっていないまま読むことと比較して内容理解の深さやスピードに差が出てきます。大事な概要情報なので必ず最初に確認するようにしましょう。
Part 6に登場する主な文書の種類を以下にまとめましたのでおさえておきましょう。
Eメールや手紙の場合はタイトルや送り元・送り先をチェックしましょう。
Eメールのタイトルはその文書内容をサマライズしたものなので必ず本文リーディングの前に要確認です。また、Eメール・手紙の場合は誰から誰宛(Eメールの@以下が同じであれば同僚同士のやり取りと分かります)、会社名(業種が分かることが多い)や役職なども素早くチェックしましょう。
上記に挙げたような情報を確認し、概要を掴んだうえで本文のリーディング、解答を行っていきましょう。解答方法に関しては次のセクションで説明します。
Part 6の問題に「問題の種類」を意識せずにやみくもに取り組むことは、正確さ・スピードの両面においてマイナスに働くことが多いです。Part 5と同じく問題の種類を意識して「問題の種類に合った適切な対応方法をとる」という明確な解答を心がけましょう。問題の種類は以下のように分類可能です。
Part 5と同様に「選択肢に同じ品詞の語が並んでいる」場合は語彙問題と分類できます。
(A) clearly(B) promptly(C) considerably(D) actively
上記の選択肢は全て副詞なので語彙問題と考えられます。
Part 6の語彙問題は以下の点に注意して解答しましょう。
Part 5と同様文脈の情報をもとに、正しい文意を作ることができる選択肢を選択する解答方法です。
ただし、Part 5は空欄を含む一文の中に必ず解答根拠となる情報が入っているのに対し、Part 6の場合は前後の文などより広く複数の文の文脈からの情報をもとに解答する問題もよく出てきます。空欄を含む一文だけに拘り過ぎず、必要な情報が出てくるまでPart 5より広範囲の意識で確認し、解答しましょう。
空欄を含む文より前に解答根拠がある場合は、その内容を言い換えた語(抽象化している場合が多い)が正解となるパターンもよく出ます。
以下のような語法の知識を活用して解答する語彙問題も出題されます。
これらの力を磨くには語彙学習において「動詞を覚える際には意味だけでなく用法も必ずおさえる」ということを意識的に行うことが非常に大切です。熟語をフィーチャーした英単語学習テキスト等の教材を活用するのも手ですね。
動詞の用法の知識はPart 5の語彙(語法)問題にも同じく有効です。
Part 5と同様な品詞問題もPart 6に出題されます。以下のように「選択肢に語源が同じ語の品詞違いが並んでいる」場合は基本的に品詞問題だと考えて対応しましょう。
(A) different (形容詞)(B) differently (副詞)(C) difference (名詞)(D) differentiate (動詞)
品詞問題の解答では基本的に以下の2点に注目して考えます。
何の品詞がどの文の要素(S・V・O・C)になり得るかという知識を活用した解答方法です。基本中の基本なので下記は必ずおさえておきましょう。
S (主語) : 名詞V (動詞) : 動詞O (目的語) : 名詞C (補語) :名詞か形容詞
同じく品詞問題で重要なのは修飾に関する知識を活用した解答方法です。どの品詞がどの品詞を修飾することが可能かは必ずおさえておきましょう。
形容詞名詞を修飾
副詞動詞、形容詞、副詞、句、節、文全体、またonlyやevenなど一部の副詞は名詞を修飾するとも考えられる
例えば空欄を含む句が以下のような場合、
/ a ——- result /
冠詞と名詞の間に入り名詞を修飾する形容詞、上の選択肢からであれば”different”を選択し、”a different result (違う結果)”とします。
品詞問題で空欄に入り得る品詞が複数残った場合は、基本的には残った選択肢を語彙問題として解答するようにしましょう。
こちらもPart 5と同様に「選択肢に同じ動詞の活用形(時制や態などを変えた形)や準動詞(不定詞・動名詞・分詞)が並んでいる」場合は動詞問題と分類できます。
(A) reduce(B) reduces(C) will be reduced(D) reducing
動詞問題では必ず最初に「空欄に入るのは動詞か準動詞か」の判断からスタートしましょう。
英語の単文には基本的に動詞は一つなので、空欄を含む文に既に動詞があれば空欄には準動詞が、無ければ動詞が入ると考えて選択肢を絞ります。その判断の際には以下の点に注意してください。
規則動詞の”-ed”形 (動詞の過去形・過去分詞どちらの可能性もある)
動詞と名詞の両方の用法を持つ語(address, book, contact, decrease, increase, place, record…etc.)
動詞・準動詞の判断で選択肢が1つに絞れればそこで解答選択、選択肢が複数残った場合は以下を参考に更に絞っていくようにしましょう。
動詞に関連する以下の文法的視点で解答しましょう。
態主語が動詞の動作をする側(能動態)か、もしくはされる側(受動態)か。動詞が他動詞場合、空欄後の目的語の有無(SVOOの第4文型をとる動詞以外受動態は目的語無し)。
時制本文中の時制を特定するキーワードを探して正しい時制を選択しましょう。空欄を含む文以外の文に解答の決め手となるキーワードがある場合もあります。
主述の一致主語の数に合わせた(述語)動詞の形の変化に注目して解答するパターンです。具体的には主語が3人称単数現在形の場合に動詞に”-s”が付く、現在完了形であれば”has + 過去分詞”、be動詞であれば”is / was”となる、といったところが解答のポイントとなります。
空欄に入る準動詞の候補が複数残った場合は以下をポイントに考えていきましょう。
不定詞名詞的用法ではS・O・Cになる。形容詞的用法では名詞の後置修飾。副詞的用法では動詞や形容詞の後置修飾。不定詞の元のの動詞が他動詞の場合は目的語をとる。
動名詞名詞と同様S・O・Cと前置詞の目的語になる。元の動詞が他動詞の場合は目的語をとる。
現在分詞名詞の前置修飾・後置修飾。後置修飾の場合、元の動詞が他動詞であれば目的語をとる。
過去分詞名詞の前置修飾・後置修飾。後置修飾で元の動詞が他動詞でも基本的には目的語はとりません。
Part 5同様、「選択肢に同じ代名詞の格が並んでいる」場合は代名詞の格の問題だと分類できます。
(A) you(B) your(C) yours(D) yourself
代名詞をシンプルにまとめると以下のようなイメージになります。
I
you
he
she
it
we
they
my
your
his
her
its
our
their
me
him
us
them
mine
yours
hers
(its)
ours
theirs
myself
yourself
himself
herself
itself
ourselves
yourselves
themselves
例として、空欄を含む句が以下のような場合は、
/ ——- inquiry /
名詞”inquiry”を前置修飾する形容詞のはたらきを持つ”your”を選択肢”your inquiry (あなたのお問い合わせ)”とします。
選択肢に全て前置詞が並んでいるタイプの問題です。文意に合う前置詞を選択しましょう。
語彙問題のセクションで説明した前置詞を含む熟語の語法が絡んでいる場合もあります。
選択肢に前置詞と接続詞が混在しているタイプの問題です。空欄後が名詞(句)であれば前置詞、空欄後がSVを含む節であれば接続詞に絞り、複数残った場合は基本的には文意に合ったものを最終的に選択します。
ただし接続詞が複数残った場合は接続詞の種類に違いがないか(等位接続詞・名詞節を導く従位接続詞・副詞節を導く従位接続詞)を確認し、違いがあればそれらの文法的な違いを利用して解答します。
選択肢に接続副詞が並んでいるタイプの問題です。多くの場合文頭に空欄があり、そこに入る接続副詞を選択します。
接続副詞は、直前の文からの話の展開を担っています。なので、直前の文と空欄を含む文を読んで関係性を理解して解答します。
例えば、「抽象→具体」となっていれば”for example (for instance)”、「前→後」となっていれば”afterward”といった具合です。
接続副詞の全体像は以下のブログを参照ください。
TOEIC Part 5/6対策としておさえるべき「接続副詞」まとめ
こちらはPart 5には無い種類で、選択肢に文が並んでいることがこのタイプの問題の特徴です。
大前提としては空欄前後と最も文の流れが適当になる文を選択するのですが、いくつか以下の大事なポイントをおさえて解答するようにしましょう。
代名詞挿入文内に代名詞がある場合は、その代名詞が空欄前の文の特定の名詞を受けて正しく文意が成り立つかどうかの確認が必要です。
定冠詞挿入文内に定冠詞(the)が付いた名詞がある場合は、基本的には特定される既出情報なので空欄前の文に既に登場しているはずです。
言い換え空欄前の文に出てきた名詞(句)を挿入文内で別の表現を使って正しく言い換えられており、且つ文意も適当なものが正解になるパターンもあります。言い換えは「抽象化」のパターンが多いです。
文の流れ簡単に言うと、挿入する文の内容が唐突でないかというポイントです。関連性がありそうな内容でも、段落内の構成や前後の文の流れから大きく外れるものは正解となりません。
自己学習でTOEIC Part 6の問題解答を行った後は、以下の手順で丁寧に復習を行いましょう。
まずは解答内容の正誤と解説内容を確認します。間違えていた場合はもちろん、合っていた場合でも正しい解答根拠・解法で正解にたどり着けたのかどうかの確認は必須です。
一つ一つの文を細部の確認を行いながら丁寧に読んで文の完全な理解を目指すリーディング方法です。具体的には以下のポイントを確認していきましょう。
この2つが基本的な精読で行う内容ですが、更に内容理解を深めたい、問題への対応力を高めたい、という方は以下の2つにもぜひ取り組んでください。
英語を(返り読みして完全な日本語訳を作るのではなく)英語の語順で理解していくために、英文にスラッシュを入れてその区切り単位で内容理解をスピーディに行っていくリーディング手法です。
内容理解、理解スピード両方の向上に効果的です。精読を既に行って文構造が明確になっているものを使うと非常にやりやすいでしょう。
スラッシュの区切りは、様々なやり方がありますが、「英語の語順」で理解するという観点で言うと日本語と英語で語順が違う以下のポイントで行うことをお勧めします。
最近のTOEIC公式問題集はリーディングパートの読み上げ音源がおまけでついているのでそれを活用します。
この次に書く「音読・シャドーイング」をスムーズに行うための「発音の確認」というところにフォーカスして、スクリプトを見ながら音源をリスニングしましょう。
主にリーディングスピードの向上を目的として、Part 6の文章をスムーズに音読・シャドーイングできるようトレーニングします。
以下の順番で取り組んでいきましょう。
以上がTOEIC Part 6の解答方法・復習方法の概要となります。Part 6のレベルアップを図りたい方は、ぜひご自身の学習に取り入れてみてください。
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筆者(TOEIC990点満点30回以上・TESOL英語教授法修士号取得)が指導をしている福岡・博多のTOEICコーチングスクールRepでは基礎英語力の構築から読解・聴解のトレーニングやTOEIC問題解答のための戦略的なリーディング・リスニングの手法まで総合的に身につけて頂く3ヵ月短期集中型のプログラムを提供しております。3ヶ月のプログラムで受講生のTOEIC公開テストのスコア300点以上アップの実績がございます。ご自身のキャリアアップに向け大きく英語力やTOEICスコアを伸ばしたいという方はぜひホームページをご覧になってお気軽にお問い合わせください。
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