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TOEICでイギリス発音の聴き取りがネックになっている方に向けてアメリカ発音とイギリス発音の違いに関して他の記事でも書いてきていますが、今回は子音の違いについてフォーカスしていきましょう。シャドーイングの練習などでもポイントとなってくる子音連結に関連する内容です。

母音間の/t/の発音

イギリス発音では母音に挟まれた/t/を後述のアメリカ発音のように「はじき音」として発音せずに、通常の/t/の音で発音します。

/t/が母音に挟まれている状況とは、以下のような場合です。

city let it party
/ˈsɪti/ /ˈlet ɪt, / /ˈpɑːrti/

 

一つの単語内、または二つの単語が並んだ結果tが母音に挟まれたポジションとなる場合です。さらに、母音には/əːr/・/ɑːr/・/ɔːr/などのR性母音も含むのでそれらに挟まれた場合も同様です(ただしこちらのブログ記事で説明した通り基本的にイギリス英語ではR性母音はありません)。

イギリス発音と違い、アメリカ発音ではこうしたポジションの/t/をflap tと言って日本語のラ行に近い音で発音します。
もう少し詳しく言うと、上あごの歯茎からやや後ろの部分をやや強めに短く一瞬ではじくように有声音で発音します。

例文で音の違いを確認してみましょう。

“Got it.”

▶アメリカ英語 (tのflapping有り)

 

▶イギリス英語 (tのflapping無し)

 

“She exceeded the quarterly sales quota.”

▶アメリカ英語 (tのflapping有り)

 

▶イギリス英語 (tのflapping無し)

 

次のYoutubeビデオでflap tの音や発音方法を見てみてください。

 

語末の閉鎖音の発音

閉鎖音(破裂音)とは、子音の中でも舌や唇等を使って空気の流れを完全に閉鎖して気圧を高めてリリースするタイプの音を言います。
具体的には/p/・/b/・/t/・/d/・/k/・/g/の音があげられます。

これらの音をフルで発音する際には以下の2ステップを行っています。

①閉鎖…空気の流れを閉鎖する

②リリース…閉鎖を開放する

イギリス英語発音では後述する声門閉鎖音という発音の方法を使った場合を除くとこれら①②をフルで発音することが多いです。

それに対してアメリカ発音では語末に閉鎖音がきてその次の単語が子音で始まる場合の多くで上記のステップ①だけを行い、②と③を省略し次の子音にスムーズに連結させることをよく行います。
とくに語末に/t/・/d/が来た場合ににおいてそれは顕著です。

語末の閉鎖音 + 語頭の子音 例
right now /ˈraɪt ˈnaʊ/
should be /ʃʊd biː/
back to /ˈbæk tə/

 

“We’ve set minimum bids for high-tiket items.”

▶アメリカ英語 (閉鎖のみ)

 

▶イギリス英語 (閉鎖+リリース)

 

また、語末が閉鎖音の単語が発言の最後に来る場合も同じように①の閉鎖だけを行うことが多いです。
例えば、”It hasn’t yet.” のような文や、一語で”What?”や”Wait!”のような場合も同様です。ご自身で発音を行ってみてください。

こうした閉鎖音というのは完全に何も発音をしないのではなく、閉鎖は必ず行いますので気を付けてください。

この発音をうまくできるようになると北米発音のシャドーイングや聴き取りはかなり上達しますし、スピーキングのスムーズさも培われます。

ディクテーションなどを行っていて、語末の/t/の発音が聞きづらくて正しい単語としてとらえられないといった悩みをお持ちの方はこういった閉鎖音の発音が絡んでいることが多いです。
ぜひ練習を重ねて習得してください。

こちらのビデオは閉鎖音の発音について丁寧に指導してくれているのでぜひご覧になってください。

閉鎖音でのリンキングをアメリカ英語発音の特徴として取り上げましたが、イギリス英語発音でも以下のように声門閉鎖音という発音を使ってリンキングを行う場合があります。

声門閉鎖音でのストップとリンキング

声門閉鎖音(声門破裂音)とは喉の声帯を閉じた状態から呼気とともに声帯を開いた時に出る音のことを指します。
イギリス英語発音では音節末の/p/・/t/・/k/・/tʃ/の前に声門閉鎖音が発音されることが多く、特に/t/はそれ自体が声門閉鎖でまかなわれることがあります。

なので結果として特に/t/で終わる単語の次に子音が来た場合は、イギリス英語発音でも声門を閉じることで呼気をストップし、そのまま次の子音に移るというリンキングが起こります。

実際にTOEICのイギリス人スピーカーにもこうした声門閉鎖での/t/と次の子音のリンキングがしばしば見られます。

子音の有気音化

子音の中で無声音の/p/・/t/・/k/・/tʃ/が音節の頭にきて次に強勢を持った母音が続く場合にアメリカ・イギリスを問わず有気音という/h/の音(呼気が喉の奥で摩擦されてできる音)を伴った発音をされます。
有気音の子音を細かく表記すると[th]のように書いたりします。

ただ例外としてその音節の頭に/s/の音がある場合は続くこうした子音は有気音にはなりません(potの/p/は有気音だがspotの/p/は無気音)。

そして、イギリス英語発音ではさらに後ろの母音が強勢を持たなくてもこの有気音化が起こることがしばしばあります。

TOEICの現行のイギリス人スピーカーの発音を聴いていてかなり頻繁に擦れた呼気を伴った音を耳にすると感じた方も多いかもしれません。
それはこういったイギリス英語発音の特徴が関係しています。

例えばアメリカ人スピーカーならflap tを使うようなbetterやnot atなどの母音間のtをイギリス人スピーカーはかなり強めの/h/の音を伴って発音しています。

まとめ

今回はイギリス英語発音の子音についてだいぶ細かく見てきました。
まずはこれらのアメリカ英語発音との違いに注目しながらTOEIC公式問題集のリスニング音源(解答・解説のスクリプトのところにスピーカーの国が示してあります)を聴き比べることをお勧めします。
それぞれの特徴を正しく掴むことで音声認識の力は磨かれていきます。
その後、出来るだけ訛りも含めて完コピに近づけたシャドーイングにぜひ取り組んでみてください。

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