公開日:2020年2月7日最終更新日:2024年3月15日
TOEICテストのリーディングパートは皆さんご存知の通り短時間で大量の文章を読む時間との闘いという側面も強く、内容理解・読解スピードの向上が課題の方は非常に多いです。そうした方々に向けて今回は効果的なリーディングストラテジーをいくつかご紹介いたします。すぐに活用できるものなのでこの記事で方法を理解したら実際のTOEICリーディング問題で使う練習を繰り返して身につけてください。
目次
スキミングとは、素早く文章中のいくつかの箇所を確認しそこから文章の全体像を把握する方法です。全く前情報が無い白紙の状態で漫然と本文を読み出すのと、このスキミングを使って素早く文章の全体像を把握したうえで本文を読み出すのとでは理解度・スピード共に大きく差が出てきます。
それでは文章中のどういった部分に全体像を掴むヒントが含まれているのか、TOEICリーディングの形式でみていきましょう。
TOEICのパート 6・7では各文書の冒頭に文書の種類が明記されているのをご存知でしょうか。
Questions 154-155 refer to the following advertisement. (問題154-155は次の「広告」に関するものです。)
このように記載されているので今まで気にしていなかった方は一番最初に必ず確認するようにしましょう。また、練習の段階でこうした文書の種類の単語は分からないものは調べて全ておさえておくようにしましょう。以下にいくつか文書の種類の例をまとめておきます。
また、こうした文書の種類のスキミングでは該当の文書に関して既に持っている知識をアクティベートすることで内容理解を促進するものなので、各文書に関して対訳を知っているだけでなく、その文書の形式や機能を正しく理解していることが大事です。理解があいまいなものに関しては手間を惜しまずにWeb検索で調べたり、TOEICの該当の文書を細かく確認して正しく理解するようにしましょう。
多くの文書にはタイトルがついており、当然ですがタイトルはその文章全体の概要を一言にまとめたものなのでスキミングで確認して全体像把握に役立てましょう。E-mailではSubject (件名)が同様の働きをしていますので必ずチェックしておきましょう。
E-mailや手紙などでは差出人・宛先の箇所も素早くスキミングして大事な情報を掴みましょう。例えばE-mailの差出人・宛先のアドレス欄の@以下を確認することで同じ会社内の人間同士のメールのやり取りか異なる会社間でのやりとりかなどの概要が掴めます。また、アドレスの@以下には業種を表すようなワードが含まれていることが多くこれも内容理解のヒントになります。また、E-mail本文の末尾には差出人の名前以外にその人の肩書や部署、会社名が記載されていることが多いのでそのメールの概要把握の大きな手掛かりとなります。手紙の場合は末尾に差出人情報、手紙の一番上に宛先情報が記載されていることが多いですがまれに宛先情報の上に差出人情報が記載されている場合もあるので注意して確認しましょう。
スキミングが全体像を掴むためのリーディングストラテジーだったのに対し、スキャニングは読み手が求めている情報のみを素早く探し出す読み方です。以下のような状況で使うと非常に有効です。
TOEICリーディングのパート7では問題の種類を大別すると通常タイプの問題(文全体に関する問題や個別の情報に関する問題)以外に、①NOT問題②語彙問題③文章挿入問題④意図を問う問題、といったタイプがあります。
パート7リーディングの手順としてお勧めしているのは、先ず前項でご説明したスキミングで全体像を掴んだ後に問題の種類①~④が無いかをスキャニングで確認するというやり方です。なぜそこでスキャニングを活用した方が良いかというと、設問が全て通常タイプの問題の場合は最初の設問を読んで本文リーディングをスタートするのですが、その他の①~④の場合は以下のような別の作業を本文リーディングの前に挟むことで問題解答の精度・スピードを向上させるためです。
①NOT問題
What is NOT mentioned as…?(…として述べられていないものはどれか。)
このタイプの問題は選択肢4つの内3つが本文に合った正しい内容で解答としては誤答、1つ述べられていないものが正解となります。なので、設問のスキャニングでNOT問題を見つけて(全て大文字でNOTと書かれているのでそこに注意を向けていれば素早く見つけられます)選択肢(A)~(D)の内容を確認してから本文のリーディングをスタートし、該当したものを一つずつ消し込んでいくというやり方が戻り読みを防ぐことができて効率的です。
②語彙問題
The word “champion” in paragraph 2, line 2 is closest in meaning to (第2段落・2行目にある”champion”に最も意味が近いのは)
文中の単語やフレーズに最も近い意味の選択肢を選ぶタイプの問題です。いわゆる多義語に関して問われることも多く、単語(フレーズ)単体でみれば同義と捉えられる選択肢が複数並んでいることもよくあります。なので設問・選択肢を見ただけで答えるようなことはせずに本文の文脈での意味を確認して解答する必要があります。それを無駄なく効果的に行うには、本文リーディング前に設問をパッとスキャニングしこのタイプの問題を発見し、更に本文をスキャニングして指定された段落・行で対象の単語の位置を確認します。そして本文リーディングを該当の単語の前後の文はこの語の意味を特定するために文脈を取るという意識を持ってスタートすることでより効率・精度の良い解答を行うことができるようになります。
因みに上に例で挙げた”champion”は「チャンピオン・優勝者」という意味がなじみ深いと思いますが、最近のTOEICリーディングの文脈では「擁護者・推進者」という意味で使われていました。そうした場合は選択肢の中で”supporter”といったような単語が近い意味として当てはまるでしょう。こうした最新の傾向の単語をこちらのブログ記事で集めて説明していますので気になった方はぜひ合わせてご覧になってください。
③文章挿入問題
In which of the positions marked [1], [2], [3], and [4] does the following sentence best belong?([1]、[2]、[3]、[4]と記載された箇所のうち、次の文が入るのに最もふさわしいのはどれですか。)
このタイプの問題は、文章中に空欄が4か所あり、設問に記載されている挿入文が入るのに最も適している箇所を選ぶものです。前後関係を正しく捉える必要があるので比較的難しい問題ですが、こちらも設問のスキャニングで(もしくは最初のスキミングの段階で本文に一瞬目をやった際のスキャンで空欄と数字を認識し)文章挿入問題があることを確認し、本文リーディングの前に先に挿入文をしっかりと読んで正しい挿入箇所を検討しながら本文リーディングを行うことでこちらも解答の精度・スピードアップに繋がります。4つの空欄は通常文章全体にまたがっているので、この手法を使わないと挿入問題解答(通常最後の設問)の際にもう一度本文を全体読み直すことになり非常に大きなロスとなります。また、正解の選択肢(挿入箇所)を選ぶ判断基準としては、文脈の流れが自然になること、代名詞(e.g. it, these, he)や定冠詞を伴う名詞(e.g. the information)が直前の文に出てきた語句を適切にうけていることなどが挙げられます。
④意図を問う問題
At 10:30 A.M., what does Mr. Joseph mean when he writes, “…”?(午前10時30分に「…」と書くことで、Josephさんは何を意図していますか。)
こちらはテキストメッセージやオンラインチャットのやり取りの問題文に出てくる書き手の発言の意図を問うタイプの問題です。こちらは設問のスキャニングで意図を問う問題を発見し、該当の時間の該当の文をスキャニングで予め特定したうえで本文リーディングの際にその部分の前後の文脈を正しく捉える意識を持って読むことでより効率的に解答を行うことができます。該当の発言箇所は比較的抽象的な表現である場合が多いので、当然ですが設問だけで選ばずに前後の文脈をしっかりと捉えることで発言の意図を明確にして解答しましょう。
上記の設問の種類分けでは通常タイプとしているものの中で以下のように固有名詞(人名や会社名など)についての情報を問う問題も良く出題され、こちらもスキャニングを有効に使うことができます。
What is indicated about Both Worlds Ltd.?(Both Worlds社について何が示されていますか。)
Who is Mr. Novello?(Mr. Novelloとは誰ですか。)
こうしたタイプの問題にあたった際は、軽く本文全体をスキャニングで確認しこれらの固有名詞が本文中のどのあたりに出てくるかを確認してからリーディングをすると解答の効率が上がると言えます(ただし飛ばし読みに使うのではなく、あくまでも文章全体を読んで情報をくみ取る際の注意力の使い方を効果的にするものです)。こうした固有名詞は必ず頭文字が大文字表記なので比較的に容易に短時間でスキャニングして発見できるというのがポイントです。
サマライジングとは文章の章や段落などの特定の単位の本旨を簡潔にまとめることです。TOEICリーディングでは効率的な読解のために段落毎のサマライジングをお勧めしています。
ここでポイントなのは短時間に簡潔にというところで、その段落を一言で言うと「~」というふうにで日本語でまとめてOKです。
例えば2段落構成のE-mailをリーディングしているとして、1段落目は「メールの目的」、2段落目は「お願い事項」といった感じです。段落ごとにほんの数秒この手間を加えるだけで、その段落の理解度の向上と情報検索の効率化に繋がります。後者はどういう意味かというと、例えば設問で「このメールの目的は何か」と聞かれていれば第1段落から情報を探す、「送信者は受信者に何を頼んでいるか」と聞かれていれば第2段落から情報を探すという効率的な探し方が可能になるということです。こうすることで、解答に必要な情報が見つかりにくかった場合でも文章全体を読み直して再度探すといった非常に時間的ロスの多い方法でなく、問われている内容が恐らくあるであろう段落をピンポイントで検索するという効率化が図れます。
またパッセージの全体的な概要を問うタイプの問題の解答にもサマライジングは役立ちます。各段落の要約と選択肢の内容を照らし合わせることで、文章の本旨に直結するものか、文章内の部分的な情報かの判断を効果的に行うことができます。
ここまでご説明したように、TOEICリーディングでは漫然と文章を読むのとこうしたリーディングストラテジーを活用したリーディングでは理解度・スピードに大きく差が出てきます。スキミングでの全体把握、スキャニングでの必要な情報の検索、サマライジングでの段落の要約をスピーディに活用できる状態までTOEICリーディング問題を使って練習を重ねて身につけてください。
一つ一つの英文の理解・速度をUPさせるためのスラッシュリーディングのスキルに関しては以下のブログにまとめていますのでそちらもぜひ参考にしてください。
TOEICリーディングスピード不足・Part 7色塗りを卒業するための「スラッシュリーディング徹底解説+演習」
長くなりましたが読んで頂きありがとうございました。
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筆者(TOEIC990点満点25回以上・英語教授法修士号取得)が指導をしている福岡のTOEICコーチングスクールRepでは基礎英語力の構築から読解・聴解のトレーニングやこうした問題解答のための戦略的なリーディング・リスニングの手法まで総合的に身につけて頂く3ヵ月短期集中型のプログラムを提供しております。ご自身のキャリアアップに向け大きく英語力やTOEICスコアを伸ばしたいという方はぜひホームページをご覧になってお気軽にお問い合わせください。
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